私と君たちの間に横たわる
大きすぎる時の壁
それを乗り越える術を持っているのは
私の知る限り君たちしかいない
記憶し 記録し 遺し 伝え
目を見張るほどの高等手段
それでも君たちは繰り返すのだな
同じことを 何度も 何度も
過去からの警告は 風化する碑のごとく
生きた者の教訓は 埋もれる標のごとく
淀み 霞み 流れ 薄れ
中身を失った殻が ただ立ち尽くすばかり
君たちは 壁を乗り越えてなどいなかった
苦心して穴を開けていながら そこから覗いていたに過ぎなかった
けれどもきっと 無駄ではない
穴は一つではない いくつも壁に穿たれて
ある日いつか 壁は崩れ落ちるだろう
その時はじめて 私は君たちの手を取るだろう
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